John M.J. Madey によるFELの最初の論文(1971)-12

ここまでの一連の文章は、内容を決めずに書き始めたものである。「FELの最初の論文(1971)」と題するのは適当でないところまで脱線しているが、切りのよいところまで続けることにする。

1976年の会議録

1976年に開催されたレーザーの会議(The US Army Sponsored Symposium on New Laser Concepts at Redstone Arsenal, Alabama, Nov. 11-Dec. 2, 1976)の一部として、Cooperative Effects Meeting が開催され、その議事録が出版されている。
“Cooperative effects in matter and radiation”, (1977)

1973年に初めて実験で観測された superradiance現象について議論するのが主たる目的であったが、P. Meystre によるFEL に関する発表もあり、その年にOpt. Comm.誌に彼らが発表した古典力学によるFEL解析について述べている。Madey は発表者ではなかったが会議には参加しており、Meystre の発表についてコメントを発している。会議録は、発表者の論文以外に、数編の追加論文が所収されており、Madey の論文も含まれている。

Madeyの論文、”Free Electron Lasers” で彼は、”The classical approximation”, “Applicability of the classical approximation” といった節を立てて、FELの古典力学解釈の限界について、1973年のFEL論文と同様な議論を繰り返している。この時点では、古典力学による FEL の動作解析に一定の価値を認めながらも、量子力学解釈の必要性をなおも捨てていない。

すでに記したように、1978年の Nuovo Cimento 論文で、Madey は古典力学を使って Madey’s Theorem を導出している。1976〜1978年は FEL の古典力学的解釈が一気に広まった時期であり、Madey 自身の考え方も、この時期で大きく変わったのだろう。

ところで、上記の会議録(論文集)では、巻末に議事録がついている。

よく知られているように、superradianceの現象はDicke が1954年に提唱したものだが、実験による確認は、MITのMichael S. Feld らによる1973年の報告が最初である。議事録では、M.S. Feld と、後年FELでも大きな貢献をすることになるRodolf Bonifacioらによる熱い議論の応酬を垣間見ることができる。

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