Madey が1971年にJ. Appl. Phys. に発表した論文について、さらに続ける。
Fermi’s Golden Rule
フェルミの黄金律とは、二つの状態間(ある固有状態から別の固有状態へ)の遷移が外部からの刺激(光など)で起こるとき、量子力学を用いてその遷移確率を求める手法である。
Madeyの論文では、(9)式は次の通りである
ここで、、
は、遷移前後の固有状態、
は摂動(外部からの刺激)のハミルトニアン、
は終状態の状態密度である。この遷移の様子を図示すると下のようになる。
論文では、Feynmanの教科書(Quantum Electrodynamics)にしたがって、2粒子の散乱における終状態の状態密度を求め、遷移確率を計算している。
電子と仮想光子(アンジュレータ磁場)の散乱に、このような解析を応用することで、自然放出(自発放射光)、誘導放出、吸収の確率を計算することができ、誘導放出と吸収の確率の差をとることで、FEL増幅作用のゲインが導出される。
この過程で、「Madeyの定理=自発放射光スペクトルの微分がFELゲインとなる」が示される。