論文の評価と批判
Madeyの1971年論文は、FELの原理提案論文として多くの研究者が認めているのは、2015年8月時点で、Google Scholar での被引用件数が800を超えていることからも明らかであろう。
ICFA Beam Dynamics Panel の議長を長く務めているフェルミ研究所のWeiren Chou が、以前、私の居室を訪問した時、土産として持参してくれた加速器の歴史をまとめたポスターを見ながら、「加速器の分野で、次にノーベル賞が出るとすれば、Madey のFEL だろうね」と言っていた。Weiren Chou に限らず、Madey の業績を高く評価する同業者は大勢いる。そのMadey の最重要の業績が1971年の論文である。
しかしながら、この論文については、発表以来、二つの批判が続いたことも事実である。
批判の一つは、先行する Motz や Phillips の研究を適切に引用していない点、もう一つは、古典論で解析できる現象をわざわざ量子論で扱っている点である。