Dicke のSuperradiance -4

2個の2準位原子が共鳴的に結合した系において、完全反転分布状態から下準位への遷移確を計算し、原子が独立に存在する場合とは異なることを示した。この結果を原子が3個、4個、、、N個と増やすとどうなるであろうか?

復習のため、原子が1個、2個の場合について、系の取り得るエネルギー準位、状態、遷移確率を図示する。

まず、原子が1個の場合、二つの準位が存在し、遷移確率は\gammaとなる。

2level-5

原子が2個の場合、三つの準位が存在し、準位間の遷移確率は前回までに計算したように以下のようになる。

3level-1

原子が2個の場合と同様に計算すると、原子が3個の場合の系の取り得るエネルギー準位、状態、遷移確率を計算できる。計算過程は省略し結果のみ図示する。

4level-1

さて、いよいよ原子がN個を計算すると、下図のようになる。

n-level-1

これで、完全反転分布したN個の2準位原子からなる系が下準位に遷移する様子を示すことができた。まとめると、

  • N個の2準位原子からなる系は等間隔に並んだ(N+1)個のエネルギー準位をとる
  • 各準位からの緩和は、直下の準位への遷移のみが許容される。
  • 遷移確率は準位毎に少しずつ異なり、中央の準位ほど大きな遷移確率をもつ

各準位の遷移確率が与えられたので、この系が放射する光の時間波形を計算することができる。これは次回とする。

カテゴリー: レーザー パーマリンク

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