いよいよ完全反転分布したN個の2準位原子からなる系からの光放出の時間波形の計算を行う。
下図のようにエネルギー準位のラベルづけを行う。
準位から
への遷移確率は、前回までに求めた式を
で書き直して
である。
時刻に準位
に系の状態を見出す確率は次の微分方程式に従うことがわかる。
完全反転分布の初期値 ,
について、この微分方程式を解けば光放出の時間波形を求められる。しかしながら、
に対して計算するのは煩雑である。ここでは別の方法で近似計算を行う。
完全反転分布した状態から 個の光子を放出する平均時間を
と表すことにする。各準位間の遷移の平均時間を足し合わせれば任意の
について
を計算できて、
の場合、和を積分に置き換えて近似計算ができるので、
これを について解くと
が得られる。光放出の時間波形は
と求められた。